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微生物検査研究班

びせいぶつけんさトリビア

びせいぶつけんさトリビア No.4

2019-07-03
アカントアメーバ角膜炎

角膜はいわゆる「黒目」の表面の透明な0.5mmほどの厚さの組織です。普通、この角膜の表面は角膜上皮で覆われて微生物は侵入できませんが、傷などから微生物による感染が成立することがあります。角膜感染症を起こす主な微生物として、細菌・真菌・アカントアメーバ・ヘルペスウイルスなどがありますが、今回はアカントアメーバについてです。アカントアメーバが原因で起こる角膜感染症は近年増加しています。アカントアメーバ角膜炎を発症した人のほとんどはソフトコンタクトレンズ使用者です。いまや国民の10人に1人がコンタクトレンズを使用しているといわれ、特に若い女性を中心に流行しているカラーコンタクトレンズ「カラコン」がその拍車をかけています。現在、ソフトコンタクトレンズのケア用品では洗浄・すすぎ・消毒・保存の一連のケアを一つの商品でできる「マルチパーパスソリューション」と呼ばれるものが便利で多用されているのですが、いろいろな用途に使用できる分、消毒効果自体あまり強くないようです。また、薄くて装用感の良いソフトコンタクトレンズの場合は角膜に障害が起こっていることに気付き難いという背景もあるようです。アカントアメーバ角膜炎を発症した人はコンタクトレンズのこすり洗いやすすぎが十分でない場合や使用期限を守らないなどの決められた取り扱いができていない場合がほとんどといわれています。何よりコンタクトレンズケースを清潔に保つことが微生物学的に重要だと私は考えております。ケースは使用毎に洗浄・乾燥させ、ケース内にPseudomonas aeruginosa などのブドウ糖非発酵菌を増やさず、バイオフィルムを形成させないことです。アカントアメーバは川や沼、土壌や公園の砂などに広く存在しているといわれてますが、細菌を食べて増殖するので、まずは菌を増やさないようケースの洗浄・乾燥です。「乾燥」これ重要です。日本コンタクトレンズ学会によるとマルチパーパスソリューションは毎日新しく交換し、その都度レンズケースを洗浄・乾燥させる。レンズケースは1.5カ月~3カ月に1度は必ず新しいものと交換すること。となっています。マルチパーパスソリューション(保存液)のボトル内部の汚染にも気を付けた方が良いですね。不幸にも発症してまった場合は抗真菌薬の点眼や、角膜の表面を削るなど、いろいろな治療法を併用しますが、きわめて治りにくいのが特徴です。診断の遅れで失明にまで及ぶケースもあるため微生物検査室としては対応できるようにしたいですね。さて、前置きが長くなりましたがアカントアメーバの培養検査って皆さん対応していますか?

Acanthamoeba:自由生活性アメーバの一種で土壌や水中に広く生息しています。

栄養型:大きさは約20~40μmで、虫体の前方から側方にかけて棘状(acantha)の仮足を有することが特徴です。収縮胞が存在するため、寒天培地上の観察では収縮胞がウインクをしているかの様に観察できます。環境条件に伴い薬剤に抵抗性のあるシストへと変化します

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アカントアメーバ栄養型 ×400 (培養)

シスト:大きさは約10~25μmで内壁と外壁の二重壁を有し、内壁の形は円形から多角形あるいは星型をしています。

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アカントアメーバシスト ×400 (コンタクトケースから直接鏡検)

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アカントアメーバシスト ×400 (培養した栄養体を放置してシスト化させたもの)

アカントアメーバの検査

検査材料は角膜擦過物から直接あるいは、コンタクトレンズ、コンタクトレンズケース内の保存液などから間接的に証明します(生鮮塗抹でも見えることがありますので培養の前にまず鏡検してください)。角膜擦過物は微量なため、滅菌マイクロチューブなどで少量の滅菌水に浮遊させてもらうと良いかもしれません。

①培地の作製

精製水に寒天を1.5%添加し滅菌、冷めてきたら乳酸リンゲル液を1.5~2%程度の割合で加え、寒天平板培地にします。カビや雑菌の増殖を抑えるため、栄養素を含まない培地が必要です。期限切れの環境培養用のスタンプ培地のシャーレをとっておくと便利です。レンズとシャーレの縁がぶつかりません。

②餌の作製

精製水にE. coli を濃厚に浮遊させ、60℃、1時間加熱処理します。加熱したE. coli をMcFarland No.3程度に調整し、寒天培地に覆うように塗布します。このとき、培地表面を傷つけないことがポイントで後の観察がしやすくなります。ディスク法感受性試験みたいに綿棒で塗ったらダメですよ。コンラージ棒みたいのが良いです。培地表面が乾燥したら、材料を培地中心部に接種、シャーレの裏からマジックで目印をつけておきましょう。

③培養と判定

シャーレの蓋を上にした状態で26~30℃で、5~10日間培養します。シャーレ蓋の周囲をテープで覆うか、ビニール袋に入れるなどして乾燥を防ぎましょう。判定はアカントアメーバの栄養型の有無を光学顕微鏡100倍(対物レンズがぶつからないなら200倍)で毎日観察します。対物レンズの汚染には特に注意してくださいね。

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