日々の検査から
日々の検査から No.12
血液培養ボトル こんな使い方 鎌状赤血球症
多忙のため少し更新間隔があいてしまいました。
今日は血液培養の話です。
でも感染症の話ではありません。異常ヘモグロビン症の1つである鎌状赤血球症についてです。日本人にはほとんど認められないため遭遇する頻度は少ない疾患かと思われます。
wikipediaからの引用ですが、
「遺伝子突然変異により、11番染色体にあるヘモグロビンβ鎖の6番目のアミノ酸に置換が生じることが原因である。そこには本来はグルタミン酸が入るのだが、バリンがその代わりに入って合成が行われる。」これが鎌状赤血球症の形態変化の原因となるヘモグロビンSです。
通常、酸素を取り込んだヘモグロビン Sは、ヘモグロビンAのように可溶化されていますが、酸素が取り出されたヘモグロビンSは、ゲル化し赤血球の形態を鎌状に変化させます。つまり酸素の少ない状態でゲル化して形態が変化してきます。ゆえに、激しい運動や登山、酸素濃度の低い高地などをきっかけとして急性発症する場合があります。
鎌状赤血球は壊れやすくすぐに分解され貧血となります。また、鎌状赤血球はその形態から塞栓を形成しやすくなります。
バイキン屋はここまで書くとピンとくると思いますが、この病気の方は血液培養ボトルに変化がでるのでは?という疑問が浮かんでくると思います。
では見てみましょう。
まず、好気ボトルの中身を抜いてみましょう。
とくに鎌状に変化しているようには見えません。では嫌気ボトルを
見事に鎌状化していますね。
鎌状化は可逆的変化のため、染色を行うと途中の過程で酸素を取り込むためか変化に乏しく、生標本のほうが見やすいようです。ちなみにDiff-Quick染色像を示します。
このような感じで、血液培養ボトルを利用すると特別なことをせずに鎌状赤血球を観察することができます。
ヘモグロビンの電気泳動以外にも、形態的に鎌状赤血球を確認する検査方法はありますが、もし疑う患者が発熱などのために血液培養を採取していたら、少し抜いて顕微鏡で観察してみると良いと思います。
※あくまで1症例での経験ですので、この話が感度・特異度的なことを保証するものではないことを最後に記します。





